告白

「圭ちゃん、私ね…本当は詩音だったんだ」
「え？」
「元々私が詩音であの子が魅音だったの。…昔からよく入れ替わって遊んでたけど、いつも周りからチヤホヤされて特別扱いの『魅音』が羨ましかった…だから、頭首の証の刺青を入れる大事な宴の日に入れ替わってもらったの。もちろん刺青の事なんて知らなかった。私はただちょっと贅沢がしたかっただけだったのに」
話しながら手が震えていた。自分で思っているより緊張しているらしい。
「それで背中に刺青を入れられて取り返しがつかなくなって、そのまま私達は元に戻れなくなった」
「そっか…でもまぁ、入れ替わったおかげで魅音と会えたんだよな」
「え…？」
「詩音は学園から脱出してこっちに戻ってきたんだよな？お前にはそんな度胸ないだろうしな」
圭ちゃんは茶化すように笑った。
でもその笑顔にはいつもの意地悪さはなく、優しさすら感じられた。私の心情を気遣ってわざと笑い飛ばしてくれたのだ。
「なっ！…確かにそんな事考えもしないけど…」
「お前達には悪いけど、そのおかげで魅音と会えて魅音の部活を通じてみんなと仲良くなれて俺は良かったと思うぜ」
「圭ちゃん…うん、私もみんなと…圭ちゃんと会えて良かった！」
その言葉で心が少し軽くなり、頬に一筋涙が伝った。
圭ちゃんは一回くしゃっと頭を撫でて、私を引き寄せ抱きしめた。
そして圭ちゃんの胸でしばらく泣いた。